【体験レポ】ホストが日本舞踊?Smappa!Group「好色一代男」を実際に観て感じた“新しいかっこよさ”

「ホストが日本舞踊を舞う。」
この言葉を聞いて、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか。
正直なところ、筆者は取材前まで「ホストと日本舞踊という組み合わせに違和感」を感じていました。
華やかな接客やエンターテインメントの世界で活躍するホストと、日本の伝統文化である日本舞踊。一見すると、あまり結びつかないように思えたからです。
しかし、その舞台を手がけるのがSmappa!Groupだと知り、「実際に観てみたい」と思いました。
Smappa!Groupは、歌舞伎町でホストクラブを運営するだけではなく、歌舞伎町の清掃活動「夜鳥ノ界」発足や歌集『ホスト万葉集』の出版など、ホスト業界に新しい価値を発信し続けているグループです。
そんなSmappa!Groupが開催する日本舞踊公演「好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)」。
ホストル編集部は今回、東急歌舞伎町タワーへ足を運び、実際に公演を鑑賞。公演後には出演者の一人である空条 承太郎さんにもお話を伺うことができました。
舞台を観て感じたこと、そして本人の言葉から見えてきた「ホストだから日本舞踊」という考え方を、体験レポートとしてお届けします。
目次
東急歌舞伎町タワーで開催された「好色一代男」

今回の会場は、東急歌舞伎町タワー。
「日本舞踊の公演」と聞くと、静かな劇場を想像していましたが、会場の雰囲気は想像とは少し違いました。
隣にはビアホールがあり、お酒や食事を楽しみながら公演を観られる開放的な空間。堅苦しい空気はなく、気軽に立ち寄れる雰囲気が印象的でした。

観客は女性が約9割。10代から30代くらいの方が多く、小さなお子さんを連れた家族の姿も見られました。
日本舞踊というと「敷居が高い」というイメージを持っていましたが、この会場では世代を問わず、多くの人が自然と舞台に見入っていました。

開演前のMCで知った、ホストたちの努力

開演前には、出演するOPUSTの亜樹さん、光希さんがMCとして登場。軽快なトークで会場を盛り上げながら、今回の公演について紹介していました。
その中で印象に残ったのが、
「営業前の時間を使って日本舞踊の稽古をしている」
という話です。
ホストという仕事は夜が本番です。その前の時間を使い、日本舞踊の稽古を重ねている。
華やかな舞台の裏側には、そうした積み重ねがあることを知り、公演が始まる前から舞台への見方が少し変わりました。
一つひとつの所作から伝わる真剣さ

公演が始まると、まず驚いたのは出演者全員の姿勢の美しさでした。
舞っている時間だけではありません。歩き方、立ち姿、舞台から袖へ下がる最後の一歩まで、一つひとつの所作がとても丁寧です。
ホストとして接客をしている姿とはまた違う、落ち着いた雰囲気がそこにはありました。
CUREの唄さんは、約6か月ぶりとなる「白扇(はくせん)」という演目を披露。
久しぶりとは思えないほど安定した舞で、長く積み重ねてきた経験が伝わってきました。
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亜樹さんも約1年ぶりの「浦島(うらしま)」という演目で、限られた練習時間を感じさせない完成度。
本番までにどれだけ準備を重ねてきたのかが伝わる舞台でした。
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また、MCも担当していたOPUSTの光希さんは「草の葉(くさのは)」を披露。公演後に「舞よりMCの方が好きです(笑)」と笑顔で話し、会場を和ませる場面も。
舞台では真剣な表情を見せながら、普段のホストらしい親しみやすさものぞかせていました。

CUREのてぃあわんさんが披露したのは、「槍さび(やりさび)」という演目です。
実際に観ていて印象に残ったのは、動きを止める瞬間の美しさでした。
ゆっくりとした所作だからこそ、ごまかしが利かず、姿勢や体の軸の安定感が際立ちます。ピタッと静止する一瞬一瞬から、日本舞踊ならではの魅力を感じました。
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空条 承太郎さんは、扇を使った演目「松尽くし(まつづくし)」を披露しました。
指先まで神経が行き届いた繊細な所作が印象的で、特に扇を空中へ投げて受け止める場面では、思わず目を奪われました。
派手な演出ではありませんが、日本舞踊ならではの静かな緊張感があり、一つひとつの動きから、日々の稽古を積み重ねてきたことが伝わってきます。
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手塚マキさんが見せた、もう一つの顔

また、今回の公演にはSmappa!Group代表の大崎愛海さんも出演しました。
日本ソムリエ協会認定ソムリエとしても活躍する大崎愛海さん。この日は日本舞踊の舞台にも出演し、「芦刈(あしかり)」という演目で落ち着いた所作で観客を魅了していました。

そして、多くの人が注目していたのがSmappa!Group会長・手塚マキさんです。
日本舞踊の名取試験に合格し、「山村若静郎」をご宗家から許された手塚さん。この日は「山村舞(やまむらまい)」を披露し、日本舞踊と真剣に向き合ってきた姿を見せていました。
業界では誰もが知る存在ですが、舞台の上ではまったく違う空気をまとい、その所作一つひとつから、日々積み重ねてきた稽古の成果が感じられました。
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最後は出演者全員で「高砂(たかさご)」を披露。
全員が最初に習ったという演目だそうですが、ゆったりとした動きだからこそ、ごまかしの利かない姿勢や体幹の強さが際立ち、公演の締めくくりにふさわしい舞台でした。

「ホストだから日本舞踊」──公演後、空条 承太郎さんに話を聞いてみた

公演終了後、ホストル編集部は出演者の一人、空条 承太郎さんにインタビューをさせていただきました。
舞台では落ち着いた表情が印象的でしたが、インタビューでは日本舞踊を始めたきっかけや、ホストの仕事との共通点について率直に語ってくださいました。
「半年かけて一つの演目を仕上げる」
ー日本舞踊を始めたきっかけを教えてください。
「会長から『承太郎も出て』と言われて、『分かりました』という感じでした。」
もっと特別なきっかけがあるのかと思っていましたが、返ってきた答えはとても自然なものでした。「やってみよう」と決めてから、約半年という時間をかけて一つの演目を完成させていく。その積み重ねが、今回の舞台につながっています。
ー稽古はどのくらいされていますか?
「月に3回くらいです。一つの演目につき30分くらい稽古をして、それを半年くらい続けます。本番が近くなると追加で稽古をすることもあります。」
半年という期間を聞くと長く感じますが、ホストとして営業をしながら続けることを考えると、その時間を確保するだけでも簡単ではありません。
ー稽古は営業前に行っているそうですね。
「15時くらいから稽古をして、18時とか18時半くらいまでですね。そのあとヘアセットをして営業に向かいます。」
公演前のMCでも話していた「営業前に稽古をしている」という言葉。実際に本人から聞くと、その日常がよりリアルに伝わってきました。
ホストとして働きながら、日本舞踊にも真剣に向き合う。舞台で見た美しい所作は、こうした日々の積み重ねから生まれているのだと感じます。

一番の難しさは「姿勢」と「扇」
ー一番難しいと感じることは何ですか?
「姿勢ですね。あとは扇の使い方です。」
今回の公演でも印象的だった扇を使った演技。実は本番前にも先生から姿勢や立ち位置、扇の細かな動きについて何度も指導を受けていたそうです。
承太郎さんは、「本番では、扇が思っていたように回らなかったところもありました。」と振り返ります。客席から見ると堂々とした舞でしたが、ご本人は細かな部分まで振り返り、さらに上を目指している様子が印象的でした。
学びは「ノンバーバルコミュニケーション」
ー日本舞踊を通して、一番学びになったことは何ですか?
この質問に対する答えは、今回の取材で最も印象に残った言葉でした。
「ノンバーバルコミュニケーションですね。ホストって結構リアクションだったり、表情だったり、分かりやすく表現することが多いんです。でも日本舞踊は逆なんです。“見せない見せ方”というか、大きく動かなくても伝わる表現がある。そこはホストにも通じるものがあると思っています。」
公演中に感じた、あの静かな迫力。その理由は、この言葉に詰まっているように思いました。
大きく動かないからこそ伝わるものがある。言葉を使わず、人の心を動かす。それは日本舞踊だけではなく、人と向き合うホストという仕事にも活きているのかもしれません。
※ノンバーバルコミュニケーション:表情や身振り手振り、声のトーンなど、言葉以外の手段で行う意思疎通のこと

ー承太郎さんが考える「かっこいい」とは?
承太郎さんは少し考えたあと、ゆっくりと言葉を選びながら話してくれました。
「ホストって、世間ではあまり良いイメージを持たれていない部分もあると思うんです。だからこそ、日本舞踊を通して『こういうかっこよさもあるんだ』って知ってもらえたら嬉しいです。」
さらに、こんな言葉も続けてくださいました。
「歌舞伎町で働いているからこそ、この街の文化や歴史を知ることも大事だと思っています。最終的には『ホストなのに日本舞踊』じゃなくて、『ホストだから日本舞踊を学ぶんだよね』と思ってもらえるようになれば嬉しいです。」
ー今後も日本舞踊を続けていきたいですか?
質問をすると、承太郎さんは笑顔で即答しました。
「それはもちろんです!」
迷いのない返答でした。難しさもある。練習も必要。それでも続けたい。その一言から、日本舞踊に向き合う真剣な思いが伝わってきました。

『かっこいい』の再定義
承太郎さんは最後にこう語ります。
「これから『かっこいい』の再定義が必要になってくると思っています。ホストという仕事は、世間からあまり良いイメージを持たれていない部分もあると思います。
だからこそ、『ホストってかっこいいよね』と思ってもらえる存在とは何かを考えたいんです。日本舞踊を学ぶことで、見た目だけではない、人としてのかっこよさを身につけていけたらと思っています。」
取材前は「ホストと日本舞踊」という組み合わせに違和感を感じていましたが、承太郎さんの言葉を聞いて、その違和感はなくなりました。
日本舞踊を通して学ぶ姿勢や表現力、そして歌舞伎町という街の文化を知ることも、ホストという仕事の魅力を深める一つの方法なのだと感じました。
「ホストル」は、あなたの個性を活かし、本気で上を目指せるお店探しを全力でサポートします。
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